このところユウガオが咲いてます。ユウガオというくらいだから当然夕方咲くのですが、そのまま夜も咲いていて、朝はしおれてしまいます。
ふとこんな疑問がわいてきました。
「ユウガオはなぜ夜咲くのだろう。」
「夜咲いてもチョウやハチ等の虫が来ないので受粉しにくく、種子ができないのではないか。」
日本植物生理学会のサイトの記事に紹介してあった、寺田寅彦著「からすうりの花と蛾」を読んでこの疑問が解決しました。
「今から三十五年の昔のことであるがある田舎の退役軍人の家でだいじの一人むすこに才色兼備の嫁をもらった。ところが、その家の庭に咲き誇った夕顔をせせりに来る蛾の群れが時々この芳紀二八の花嫁をからかいに来る、そのたびに花嫁がたまぎるような悲鳴を上げてこわがるので、むすこ思いの父親はその次の年から断然夕顔の栽培を中止したという実例があるくらいである。この花嫁は実際夕顔の花のような感じのする女であったが、それからわずかに数年の後なくなった。この花嫁の花婿であったところの老学者の記憶には夕顔の花と蛾とにまつわる美しくも悲しい夢幻の世界が残っている。そう言って彼は私にささやくのである。私には彼女がむしろからすうりの花のようにはかない存在であったように思われるのである。」(寺田寅彦「からすうりの花と蛾」から引用)
夜活動する虫がいたのをあらためて認識しました。
ちなみに、ユウガオもカラスウリもウリ科であるとのこと。