かぼちゃのうらなりを見つけた。
漱石の「坊ちゃん」には、うらなりとあだ名をつけた英語教師が登場する。
それから英語の教師に古賀とか云う大変顔色の悪るい男が居た。大概顔の蒼い人は瘠せてるもんだがこの男は蒼くふくれている。昔小学校へ行く時分、浅井の民さんと云う子が同級生にあったが、この浅井のおやじがやはり、こんな色つやだった。浅井は百姓だから、百姓になるとあんな顔になるかと清に聞いてみたら、そうじゃありません、あの人はうらなりの唐茄子ばかり食べるから、蒼くふくれるんですと教えてくれた。それ以来蒼くふくれた人を見れば必ずうらなりの唐茄子を食った酬いだと思う。この英語の教師もうらなりばかり食ってるに違いない。もっともうらなりとは何の事か今もって知らない。清に聞いてみた事はあるが、清は笑って答えなかった。大方清も知らないんだろう。
夏目漱石 「坊ちゃん」
広辞苑によると、うらなりの意味は、1.瓜などの蔓の末に実がなること。また、その実。小振りで、味も落ちる。⇔本生(もとなり)。2.顔色の青白い元気のない人をたとえていう。3.末の方の子。 となっている。